
口腔粘膜の赤いただれや白色の粘膜診を口内炎と総称しますが、白色班で囲まれた小さな円形の浅い潰瘍を1〜数個生じたものをアフタ性口内炎といい、定期的あるいは不定期に再発を繰り返すものを慢性再発性アフタといいます。
治療は、ステロイド剤の局所塗布や消炎作用のある含嗽剤を使用します。難治性のアフタには、ビタミンB剤のひとつであるパンテチン(○Rパントシン)、アレルギー用薬のトラネキサム酸(○Rトランサミン)の内服を行うこともあります。
ヘルペス性口内炎
ウイルス(単純疱疹ウイルス)の感染によるもので、初期には小水疱を形成し、すぐに破れてびらん(ただれ)を形成します。症状がひどくなると、全身倦怠、発熱、口腔粘膜全体の発赤と激痛を伴うこともあります。
また、口角周囲にもよく発現します。
口腔カンジダ症(偽膜性口内炎)
カビの仲間であるカンジダ菌による感染で、口蓋(うわあご)や頬粘膜・舌背部に白色の膜のようなものが形成されます。
入れ歯を入れている人の場合、その床下の口蓋粘膜が白色を呈さず、逆に赤くなることもありますので注意が必要です。

粘膜表面に網目状の白斑と、それに接する粘膜に赤い部分(潮紅)が見られるのが特徴の炎症状角化症で、頬粘膜が好発部位ですが、口蓋や舌の粘膜、歯肉にも認められます。無症状のこともありますが、炎症が強くなると、食べ物にしみたり、接触痛が出現します。
40〜60歳の女性に最近よく認められています。
本症の原因はよくわかっておらず、金属アレルギー、感染、薬剤などの諸説があり、近年、肝臓疾患(肝炎ウイルス感染)、高血圧症などの全身疾患との係わりも指摘されています。
扁平苔癬と金属アレルギー
歯科金属を抗原とするアレルギーに関しては、水銀、クローム、コバルト、ニッケル、パラジウムなどの感作率が高いといわれています。
扁平苔癬を有する患者にパッチテストを行ったところ、35例中7例(20%)に何らかの金属に陽性反応を示したとの報告があります。
扁平苔癬と肝疾患
本症が肝炎ウイルスによる直接的病変か肝機能障害による二次的病変かについては不明ですが、扁平苔癬患者の多くにC型肝炎がみられる〔35例中9例(28%)〕ところから、本症との関連も示唆されています。
扁平苔癬と高血圧症
本症を有する患者のうち35例中11例(31%)に高血圧症があり、全員降圧剤の服用が認められており、ある種の降圧剤による扁平苔癬様薬疹の可能性も考えられています。
口腔扁平苔癬の治療
原因がまだよくわからないため、効果的な治療法がなく対処的な療法がなされているのが現状です。
消炎作用のあるうがい薬(○Rハチアズレ、アズノール)によるうがいやステロイドホルモンの塗布が一般的に行われていますが、最近では、ビタミンA,B,E、胃薬であるマレイン酸イルソグラジン(○RガスロンN)などの内服薬による治療も行われています。
また、肝機能障害を伴う場合はその改善、高血圧症で降圧剤を服用している場合はその薬剤を変えてみるなどの考慮も必要です。
私の経験からすると、消炎作用のある含嗽剤によるブクブクうがい(一日4〜5回)が効果的で、2〜3年の長期にわたることがありますが、治癒した症例も多くあります。

粘膜に生じる白色の角化性病変で、ほとんど隆起しない斑状のものからいぼ状に隆起するもの、びらん(ただれ)や亀裂(きれつ)を生ずるものまで、いろいろな症状を呈するものがあります。
一般的には、前がん病変と考えられています(約5%にがん化)が、病変の状態によって非常に高率にがん化するものと、それほど変化しないものとに分けられます。
とくに問題となるのは、白斑と紅斑が混在するタイプ(前述の口腔扁平苔癬との鑑別も重要)で、すでにがん化しているか将来確実にがんに移行する可能性があるものです。
経験を積んだ医師であれば、肉眼的な所見である程度診断が可能ですが、確定診断を得るのには、細胞診(病変の表面を擦過して採取した細胞を顕微鏡で検査)か組織を一部採取して検査する病理組織学検査を行って確定します。
治療は、がん化の恐れのある白板症であれば、早期に治療する必要があり、切除した場合は標本の詳しい病理組織学的検査を行う必要があります。それほど変化しないタイプであれば経過を見てもかまいませんが、かかりつけの医師の定期的な診察は受けておいた方がよいでしょう。
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